「広い世界を、この目で見てみたい」
多くの人が一度はこのような思いを巡らせたことがあるのではないでしょうか?
今回は中国の旅行業界の現状についてお伝えしたいと思います。
データによると、過去3か月以内に旅に出たことがある人の割合は6割近くに上っています。
旅は既に、中国の人にとっても生活の一部となっているのです。
今回の記事では以下の内容について解説をしていきます。
1、どのような人が旅行を楽しんでいるか?
2、人々はどのような旅を望んでいるか?
3、人々は旅に何を求めるようになったのか?
4、これからの旅行業界はどのように発展していくのか?
中国の旅行トレンドや市場動向を理解することで、インバウンド市場や中国人観光客向けビジネスへの参考になればなによりです。
テンセント文旅の2018年旅行業界発展レポート
中国旅行業の経済牽引力が強まる
2017年、中国国内の旅行業の対GDP総合貢献額は9.13万億元で、総GDPの11.04%を占めました。
1、冷めやらぬ消費者心理
2017年、中国居住者の平均可処分所得は25974元(約41万円)で、2013年に比べ41.8%の伸びを見せています。
可処分所得と消費支出は年々増え続けています。
2、「おいしい生活」へのニーズ
2017年は、衣食住に代表される生活消費の所得に占める割合が全体的に低下した一方、教育文化娯楽(旅行を含む)、交通通信、医療保健、生活用品や生活サービスに代表される「生活の質」に関わる消費が増加しています。
中国国内旅行市場の急成長
1、一人あたりの平均消費額は持続的な伸びを見せる
2017年の中国国内旅行における各支出を見ると、交通費が最も多く全体の33.8%、次いで飲食費が26.2%という結果となりました。
中国国内旅行における「衣食住」の消費総額は旅行全体の消費総額の77.6%に達しています。
2、「バカンス」を目的とした旅行の占める割合が増加
中国国内旅行を楽しんでいるのは、主に都市部の住民が多いです。
2017年のデータによると、観光型旅行の割合が下がったのと対照的に、バカンス型旅行の割合が上がってきています。
3、「00後」が旅行の主な消費者に
2018年は、国内旅行者のうち70.2%が35歳以下でした。
これは、国内旅行者が主に若年層であることを示しています。
2017年に比べても、2018年の「00後」の旅行者が占める割合が最も高い伸びを示しています。
4、人気観光都市への来訪は周辺都市からの訪問客がメイン
主要都市への旅行客の人気は近隣都市からの訪問が最も多くなっています。
加熱する国外旅行市場
2014年、国外旅行者の延べ人数が初めて1億人を突破し、以降も高成長を続けたものの、その伸びは緩慢になっていました。
しかし、数年間の低成長を経て、2018年の国外旅行者数は再び二桁成長を見せました。国外旅行市場の加熱ぶりが伝わってきます。
国外から中国への観光客は安定した成長を見せる
1、外国人旅行客の比率は依然上昇
ここ数年間におけるインバウンド旅行客の構造を見ると、香港・マカオ・台湾の旅行客が占める割合が低下したものの、外国人旅行客の比率はなお伸び続けており、国外から中国大陸へのインバウンド旅行客の構造バランスは改善されてきています。
2、インバウンド旅行客に人気の都市と観光地
主要都市の人気観光スポットは以下の図の通りとなっています。
3、旅行客の訪問都市数は3都市以下に集中
中国を訪れる旅行客の半数は一つの都市のみを訪問しており、また数都市を観光する旅行客の割合も27.2%と、7割以上の旅行客が3都市以下の訪問に留まっています。
未来の旅行は「スマート化」が進む
1、宿泊先は「居心地の良さ」を重視
近年来、高級なホテルや短期民泊を選ぶ旅行者の割合が増えています。
宿泊先に高級ホテルを選ぶ理由は「ホスピタリティ」「良質な施設」「居心地の良さ」に、また高級民泊を選ぶ理由は、「実生活のような体験ができる」「はっきりした特徴がある」ことにあるようです。
また民泊では現地の大家さんから部屋を借りる事が多いため、旅行客は民泊を通して現地の生活を体験することも人気となっています。
2、旅行客は文化的体験と精神的充足を求める
旅行への需要が高度化するに伴い、博物館など文化の香り漂う施設が観光客の心を大きく掴んでいます。
また、情緒あふれる歴史的町並みの人気も高いです。
3、「スマート化」が旅行業の発展を後押し
インターネットの発展に伴い、旅行客はアプリやミニプログラム、公式アカウントなど消費者向けサービスを通じて、旅行の全日程をカバーする親身なサービスを受けられるようになっています。
手軽に、そして迅速に、旅行の醍醐味である「食べる、住む、行く、遊ぶ、買う、楽しむ」を取りそろえることができるのです。「スマート化」は、旅行客の旅をより便利なものにすることでしょう。
中国の観光旅行における消費研究レポート
観光旅行の現状、入場チケットの販売ルート、観光客について、観光旅行の趨勢、の4つの切り口から分析を行っています。
一、中国の旅行市場は良好な成長を見せている
中国の国内旅行市場は近年来安定成長を続けており、大衆旅行時代にあって、旅行やバカンスは今や一般市民の日常生活に溶け込んだものとなっています。
2017年の国内旅行客総数は延べ50億人に達しています。
旅行客が絶え間なく増加し、また旅行客自身の経済水準も高まる中、旅行業の業績も大きな伸びを見せています。旅行業界はたいへんな活気に満ちていると言えるでしょう。
二、「高星観光地(※4つ星、5つ星の高級観光地)」で入場チケット直売率が上昇
2017年の「高星観光地」の入場チケット販売ルートを見てみると、「高星観光地」の入場チケットの直売率は上昇しています。
特に華東地域(※上海市、江蘇省、浙江省)で直売率が上がっています。
現在、入場チケットの販売は主にオフライン環境下で行われていますが、オンライン販売の比率も増加しており、高星観光地は公式ホームページやEコマース旗艦店、Wechat等でのチケット直売を重視し始めています。
2013年から2017年にかけて、「高星観光地」入場チケットのオンライン販売の規模は拡大の一途を辿っており、全体に対する割合も年々増加しています。2017年、「高星観光地」入場チケットのオンライン取引額は188億元で、オンライン浸透率も14.3%に達しています。
旅行客は「体験」をより重視
1、旅行先を選ぶ決め手は「風光明媚」
旅行客は、「山と湖畔が映える自然環境」がある旅行先を主に選択しています。
旅行先の決定に最も影響を与える要素は「景観」であることが、ここから見て取れます。
また、オンラインで観光地の情報を仕入れ、旅行計画を立てている観光客は全体の6割に上っています。
2、チケットの事前予約は当たり前に
近年来、観光地の入場チケットはモバイル端末での事前予約数が増加しており、現在は半数以上が入場チケットをオンラインで事前に予約しています。
入場チケットの事前予約は既に当たり前になっています。
観光客の入場チケット予約は、主に総合旅行サイトで行われています。
中でも驢媽媽、Ctrip、Fliggyがオンライン旅行サイト業界をリードしています。
3、観光地では、多くを消費する
旅行客が支払った観光地入場チケットの平均価格は169元で、旅行客の実に98.4%が観光地で入場料以外にお金を消費しています。
お金は主に飲食と買物に使われており、旅行客が観光地で遊ぶ際の鍵となるニーズは「食事とショッピング」であることが見て取れます。
4、観光旅行は「ワンストップサービス」傾向に
旅行客の購入するサービスは「ワンストップ式」の、入場料・ホテル料金・交通費が全て込みの旅行が一番人気となっています。
これからの観光は「個別化」が進む
1、「IP」の確立
本来「IP」とは「知的財産権」を意味していますが、観光地における「IP」とは、「独自のブランドイメージを構築し、観光客へ唯一無二の旅行体験を提供すること」に他なりません。
過去一年間に多くの観光地が「IP」の導入により観光資源を充実させており、また観光地が産業チェーンへ組み込まれたことが、旅行客を引き寄せる大きな要素となっています。「許昌三国文化の旅」などが典型例でしょう。
2、観光地の「スマート化」
インターネットの不断の発展と弛まぬ技術の進歩に伴い、オンライン市場へ力を入れる観光地は段々増えてきています。
観光地の広告強化、チケットのオンライン販売、観光地のハード面、ソフト面での設備や技術の強化により、観光地を「スマート化」することで、旅行客により便利なサービスを提供することができるのです。黄山景区への顔認証システム導入などが、その例だと言えます。
中国旅行業界まとめ
如何でしたでしょうか?
中国の旅行業界を調べることで日本のインバウンド戦略について活かせる部分も多くあると思います。
イマチュウではインバウンド集客を計画する企業、店舗、自治体に向けてプロモーション代行や、戦略立案などを行っています。
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