中国人アニメクリエイターが見た日中アニメ比較

中国トレンド

ニーハオ!イマチュウ代表のバヤシです。

イマチュウは、日本と中国に拠点を持って活動しながら、最新の中国トレンドをお届けするメディアです。

日本は「アニメ王国」と呼ばれるほど、アニメ産業が世界中においてもトップレベルであるとされています。

「ドラえもん」「ワンピース」「となりのトトロ」などは世界中の人が知っているキャラクターとして人気です。

では中国の漫画事情はどうなっているでしょうか?

ここ数年、中国からも「モンキー・マジック 孫悟空誕生」(2014年)、「大漁海棠」(2016)「大護法」(2017)などのヒット作が出てきました。

また「一人之下」等は中国の漫画が日本でテレビ放送されるなど、数年前までは考えられなかった現象が起きているのも事実です。

では、日中のアニメにはどんな違いがあり、中国のアニメクリエイターはどのように日本のアニメを感じているのでしょうか?

現役中国人アニメクリエイターである孫猛さんがアニメに関するある記事から、日中アニメ比較を考察してみました。

原文:https://zhuanlan.zhihu.com/p/34524328 

中国アニメ産業の現状

ここ数年中国国産ネットアニメの数量は著しく増えてきています。

ただし数が増える一方で、質の面ではまだまだ強化しなければいけないと感じています。

中国アニメ産業は基礎が弱いという事実であるので、焦らずに一歩一歩前に進めながら、経験を積むことが大切です。量から質への転換には、再生数や興行などの結果ばかりに目を向けるのではなく、アニメ制作の体制や企業のサポートにも注意を払う必要があります。

従って、アニメクリエイトチームを育成、アニメ会社へのサポートが今後の課題になってくるでしょう。

日中アニメには依然として大きい差がある

中国のアニメ産業が既に日本に追いついたと主張する人もいるようですが、残念ながらそれは事実ではありません。実感としてはむしろ、差が大きくなり続けます。

確かに中国国産アニメの量は増えていますが、量と限られた数点の作品の結果だけを見ているように思います。

アニメを作っている人間からすると、中国と日本のアニメにはまだ差があるという認識は共通していると思います。

日本と中国のアニメには人材と技術の差がある

どのような産業でも、その繁栄を支えていくのは人材と技術です

アニメ産業も同じで、日本人のアニメクリエイターは18歳ぐらいの若い歳で業界に入る人が沢山います。そして有名作家の元で修業をするというのが一般的です。

そのような人々が24歳の時、既に6年間の経験を積んで、一人前の作家となっていきます。

また日本人は30代に結婚する人が多いので、2430歳の間は、自分の作品作りに没頭する時間をあてることができます。

一方、中国の若者は、24歳頃大学を卒業し、バイトと就労経験はあまり持っていません。卒業してから親に無理やり結婚させられることも多くみられ、仕事に夢中し、自分の能力を磨くどころか、仕事内容に慣れる時間も足りないのが現状でしょう。

日本アニメ産業が高いレベルを保てる理由として、アニメ専門学校の存在があります。日本には多くのアニメ専門学校があり、学校の先生は現役或いは元作家等の一流の人が多いので、人材育成が進みやすいです。

それと比べて、中国のアニメ教育には問題点が多く、講師のレベルが一定でなく、学校にも決まった規範がなく、理論ばかり強調するような内容になっていることも少なくもありません。

中国が人材を育てアニメ産業の基礎を築くには後約10年はかかると思いますが、この10年間に日本のアニメは更に進化しているでしょう。

中国アニメ産業発展の制限要因

現在中国アニメ産業の発展を妨げる要因として以下のようなのがあると考えます。

  • 市場の過剰拡大と単一回収。つまり、出資者は多いですが、儲ける人が少ないです。
  • 過剰な市場需要と薄弱な基礎。国産アニメを見たい人は増えていますが、それを制作できる人材が育っていません。
  •  アニメ産業認知不足と専門家が少ない。日本のような長年経験を持ったアニメクリエイターが少ないです。また、アニメを教える人は増えていますが、専門性を持った講師とは言えない人も多いです。
  • アニメ出資者と製作者間の矛盾。偉そうな投資者は多いですが、しっかりした理念や、個性を持ったアニメ監督はまだ少ないです。

上記の四つが中国アニメ産業発展を妨げる要因になっていると感じます。

アニメコンテンツ産業がまだ中国に認知されているとはいいがたく、そうなると優秀な人材育成は進みません。そして出資者が製作側に意見をすることが多いので、クリエイターのアイデアや独創性が奪われてしまうことも起こりえます。

中国アニメ産業が進むべき道

中国アニメ産業がより発展できるようになるために、以下の四つを実施することが大事だと感じます。

  • 事実に基づいて真実を求めること。現状の不足点を理解し、何をやるべきかをはっきり理解すること。
  • 人材育成。何よりも人材育成は最優先課題です。
  • 市場と消費者を重視すること。産業にとって、最終消費者は重要な存在です。消費者のニーズを聞き取ってそれに合う作品を提供すべきです。
  • プロクリエイターとしてのレベルを上げること。現在中国アニメ産業のクリエイターのレベルは、日本と比べても大きい差があります。時間をかけ、技術磨き、少しずつ産業全体を成長させることが欠かせません。

日本と中国のアニメ まとめ

いかがでしたか?今回は中国のアニメ産業について、中国のアニメクリエイター孫猛さんが書いた文章をもとにまとめました。

日本アニメ産業の歴史は長く、優秀な人材と技術を持っているのは事実ですが、ここ数年日本アニメ産業も後退しているということもささやかれています。中国のアニメ産業が今後どのような成長を遂げて、日本のアニメとどのような立ち位置になっているのか、楽しみでもあり、期待したいです。

 

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コメント

  1. ななんしー より:

    給料の問題はどうなんだろうな。中国韓国は国を上げて取り組んでいるらしいが日本のアニメーターは未だに安月給と聞く。せめて最低限の衣食住においては日本のアニメーターの生活を国が援助して欲しい気がする。でないとより条件の良い国へ人材が流れていくよな。