中国のニューリテール店舗がすごいことになっている

中国トレンド

今中国で最も進化を遂げている領域として、ニューリテールと呼ばれる新しい小売り業態があります。

ニューリテール」とは、2016年10月にアリババのジャック・マー会長が提唱した10年~20年先の未来に訪れるだろうリテールのコンセプト。 簡単に言えば、テクノロジーとデータを駆使し、オフラインとオンラインが融合したリテールビジネスによって、より優れた顧客体験を届けること。 同時に小売事業者のビジネス課題も解決する。

今回はそんなニューリテールの最前線上海・杭州で起きている小売り業のイノベーションをお伝えします。上海へ視察などへ行かれる人の参考になれば何よりです。

従来型スーパー3000店舗の未来が詰まった百聯RISO

联华超市は1991年に上海で設立された老舗スーパーマーケットですが、このRISOは従来型のスーパーがニューリテール展開を進めているのが見どころです。

聯華集団は中国でも大手のスーパーチェーンで売上は1.1兆円を超えていますが、2012年を境に売上はどんどん減少傾向にありました。実際にここ数年は年間100店舗以上の閉店しています。

そんな既存店のスーパーが今年アリババと技術提携を行いニューリテール展開を開始しました。

アリババの展開する盒马鲜生はEC企業が実店舗への展開を進めるべく作ったニューリテール店舗なのに対して、RISOは実店舗が手掛けるニューリテール店舗です。従来型の店舗を利用してどのようにニューリテールを実現するのか、など興味深いです。

アリババニューリテール戦略の本丸 盒马鲜生

盒马鲜生はアリババが展開するニューリテールスーパーです。一見すると今までのスーパーよりも少しきれいで、店内にチェーンがつり下がってて面白い。くらいにしか映らないかもしれません。しかしこのスーパーが掲げている理念や、技術を理解するとその凄さがよくわかると思います。

実際に盒马鲜生は、伝統的なスーパーマーケットと比較して、延べ床面積あたりで売上が4倍近くまで効率化されていますし、ネット注文の割合は半分を超えています。

もちろん支払いはアリペイになっていますし、現在顔認証決済試験中です。

ピックアップ、梱包、出荷準備含めて9分で完結するようにオペレーションされており、それを実現することで、3km以内30分以内の配送という形が可能となります。

生鮮食品を最も力を入れているのは、その管理をビッグデータで行い、在庫ロスを極限まで下げているからできる技術ですし、品質の保証をするためにブロックチェーンのトレサビリティ技術の導入を進めています。また、今年の春から24時間APP注文を受け付けており、深夜でも30分以内配送可能となっています。

店舗には在庫保管スペースがなく、全て店舗内の商品棚から店員がピックアップして送る形にしています。これにより在庫スペースを最大限に利用することが可能となります。

現時点では中国内に88店舗展開していますが、2022年目標に2000店舗計画しています。現在では1級都市を中心に展開していますが来年からは地方都市へも一気に広げていくという計画になっています。

また、盒马鲜生はニューリテールの技術的な部分に目が行きがちですが、オフラインでの店舗設計、サービスの良さも他のオフライン店舗を圧倒しており、店舗内に社員の方が回っているので、問題が起きたときの対応も迅速です。そういったサービスを展開することで、店舗内の満足度を高める努力も感じられるスーパーです。

ニューリテール系コンビニの勝ち組猩便利

猩便利は中国にここ数年一気に設立された無人コンビニや、無人レジ店舗の中でも最もオリジナリティが高く、消費者の満足度も高い店舗が魅力です。

オフィスビルの一角に入っていることが多く、店員はいるので無人コンビニではないですが、テック系コンビニで一番活況のニューリテールコンビニです。

店内調理スペースが豊富にあるので、カフェとしての機能や、休憩スペースなども広いのが特徴です。ある店舗は、売上の6割がオンラインからの注文と既に実店舗の売上を超えています。

猩便利が他の無人店舗と異なる点に、オリジナル開発商品が多いということが挙げられます。弁当や、パン等はもちろん、傘や、小物も猩便利オリジナルブランドで展開しています。

猩便利が業務の柱としているのは、コンビニ事業と、無人シェルフ事業です。コンビニは現在9店舗程度ですが、無人シェルフは全国に8万棚設置されています。

今後はコンビニを年50店舗程度ずつ拡大していくということで、着実に中国でその地位を固めているようです。

また、アリババ系ファイナンシャル アントファイナンシャルが2018年投資しており、今後Elama Now等と合併などの動きもあり得るのではないかと思われます。

スタバ超えを目指す中国系ニューリテール系コーヒー

日本では馴染みがないLuckinCoffeeですが、中国で生活していると目にする機会が多く、今スタバの対抗企業として登場したニューカマーとして注目されています。

何がすごいのかというと、スタ‐バックスとは違う戦略をとり、そのニューリテール戦略があまりに巧ということです。

詳細は別記事で書かせて頂いたのでそちらをご覧ください。

LuckinCoffeeがスタバに勝てる理由

 

中国ニューリテール戦略のまとめ

中国で起こっているニューリテール店舗展開がすごいことになっています。

日本の企業様には実際に機会を見つけて現場を見てみてほしいと思います。

弊社ではニューリテールの店舗訪問×ニューリテール企業とのマッチング×セミナーを組み合わせたニューリテールを理解する視察ツアーなどを実施しておりますので興味ある企業担当の方はぜひご連絡ください。

     

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