Wechatの歴史を時系列でまとめました

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イマチュウでは中国企業や中国で成功している人をピックアップして、どのようにして成功を成し得たのか?その秘訣を調査・分析しています。

今回は中国No.1のIT企業へ成長したテンセント社の主要サービスであり、世界中で10億人以上のユーザーを有するWechatというアプリについての誕生から今の発展までを解説しています。

 

Wechatが起こす革命的なサービスプラットフォーム

Wechatは2011年にテンセント社からリリースされたアプリです。

発売当初はAPPダウンロード評価でも低評価をつけられるなど散々でした。

正直、7年前に今のWechatの栄光を信じていた人は少ないでしょう。しかしWechatが現在のように大きな成功を得た裏には、隠された必然性が存在したのです。

元々はチャットアプリとして利用されていましたが、その機能は絶え間なく更新され、現在では、チャットのみならず、ゲーム、EC、電子マネー、等生活で必要となる機能を網羅した中国人にとって最も重要なインフラとなっています。

実際に中国で生活していると、Wechatによって中国人の生活スタイルが大きく変化し、7年間でWechatを通じた中国の新しい世界を享受しているという実感ができると思います。

 

そんなWechatがどのように進化を遂げ、ユーザーに受け入れられるようになったかを理解することは、中国を理解するにも有効だと思います。また中国市場へ展開を考えている日本企業にとってWechatを如何に攻略するかは成功を左右する大きなポイントにもなってくるでしょう。

Wechat発展の歴史

Wechatがどのようなステップで今日のような全方位型のサービスになったかを体系的に理解している人は少ないのではないでしょうか?

Wechatは、2011年のサービスリリース以来、1年強でユーザー1億人を突破しました。そして、2年経った時、ユーザーは3億を超えました。この速度は驚異的な増加速度で、これまでにあったあらゆるPC・インターネットサービスと比べても、極めて稀な成長といえます。

 

下図はウィーチャットの月間アクティブユーザーの推移です。バージョンアップは毎週のように更新されており、2018年6月現在はバージョン6.6版となっています。

以下はバージョンアップ毎にWechatにどのような機能が追加され、その結果Wechatの利用領域がどう変化してきたかを中心にお伝えします。

 

Wechat 初期チャットアプリ期(1.0~2.0)

バージョン1.0から2.0までにおいて、Wechatの発展は淡々としたものでした。

 

バージョン1.0のWechatでは主に文字と映像の送信ができる程度で世間からも特別注目されたサービスというわけではありませんでした。この機能は、無料で携帯のSMSが使えるという程度の認識で捉えられていましたし、実際に初期Wechatユーザーのアクティブ率はあまり高くなかったです。

 

既にサービス展開されていたKikiや携帯用QQと比べても競争力があるとは思えない内容であったといえます。その時期にはアプリの評価も低評価が多く並んでいたので、ユーザーにとっても、Wechatが最初から歓迎されたとはいえない状況が続きました。

 

Wechat 音声チャット期(2.0)

そんなWechatが最初に大きくユーザー獲得をしたサービスが、音声機能を搭載した2.0バージョンの時です。

 

この機能は香港のTalkboxが先行してスマホで実現させたものですが、すぐに国内外のWechat、Whatsappなども後に続きました。

 

スマホと音声チャットは相性が良く、履歴も残るので、チャットの利用率は上昇し、Wechatの地位が大幅に向上しました。またWechatはユーザーの使い勝手を第一に考え、広告や課金への誘導を行わなかったこともユーザーからの信頼を獲得した要因といえます。

 

Wechat 友達ネットワーキング期 (2.1)

バージョン2.1以降に重視してきたのが友達間のネットワーキングです。既にある程度認知度は高まってきていたので、友達を増やす、そしてその友達の知人もWechatへ誘導する。という機能を底的に追及してきました。そのためにはテンセントの資産であるQQの顧客や、資本もふんだんに利用した時期でもあります。

 

まず最初に行ったのはアドレス帳経由のマッチング機能です。Wechatを使ってユーザーの携帯に登録された者を友達登録させるように誘導しました。また、 QQのアカウントでWechatに登録できるようになっているので、QQユーザーもWechatで友達になるように流れを作りました。

 

QQもWechatも共にテンセント社のサービスであることがこのことを実現させることができました。QQアカウントでWechatも利用できるようにした結果、多くのQQユーザーをWechatユーザーに移行させることに成功させ、Wechatは一気に拡大していきました。

 

Wechat 他者マッチング期(2.5~3.0)

Wechatが単なる友人とのチャットアプリから、他者とのネットワーキングができるようなアプリに変貌した時期です。

 

バージョン2.5では「近くにいる人」、バージョン3.0では「ボトル」、「シェイク」を追加しました。ボトルは見知らぬ人へメッセージを書いたボトルを届け、興味があればWechatで繋がる機能、シェイクは同じタイミングでスマホを振った人と繋がれるという機能です。

 

これらの機能は知らない人とコミュニケーションをとることができる機能で、近くにいる人を探して友達になったり、知らない人と偶然マッチングするという利用方法が可能となりました。

 

知らない人と簡単に直接繋がることができる機能は、当時画期的でした。その結果、多くの人がWechatを「ワンナイトラブの神器」と評し、その時期は出会いアプリとしてもWechatが使われていたという事実があります。

 

同時期にリリースされた中国最大の出会いアプリ「陌陌(momo)」もWechatと同様の機能を搭載しており、現在地に基づく社交アプリ(LBS)の出現を可能にしたのがスマホの位置割り出し機能です。

 

位置割り出しがアプリに使われることによって、今までQQなどPCでのコミュニティを利用していたような人は、ネット上ではコミュニティを形成していましたが、実際には会えない(位置的問題)という関係から、自分に近い人から優先して検索できるWechatへと流れていきました。

 

Wechatはその環境作りを整え、話題やシチュエーションを与え続けていたからこそ、ユーザーを引き止めていられることに成功しました。その代表として「ボトル」、「シェイク」などが誕生し、より偶発的で、エンターテインメント性の強いアプリとしてユーザーを囲い込むことになっていきます。

 

Wechat ビジネスネットワーク期 (3.5)

バージョン3.5ではQRコード入り名刺機能を実装しました。QRコード入り名刺があれば、その内容を見ることで、友達登録しやすくなり、知人から他人を紹介しやすくなりましたし、相手の情報も分かるのでより多くの知人ネットワークを構築する助けになりました。

 

今中国では名刺交換という習慣が少なくなってきており、名刺交換の代わりにWechatの交換を行うのが一般的となりつつあります。友達を紹介するのも、仕事の要件を連絡するのも全てWechatで行うという人がとても多いことは、中国で生活している人なら理解できると思います。

 

もらった名刺を探して、連絡するよりもWechatで繋がっておく方がよほど簡単に連絡ができますし、その後のデータや支払いのやり取りも楽になります。

 

ビジネスでも積極的に利用されるようになったのがこの時期です。名刺の代わりとして仕事先で交換することはもちろん、自分のQRコードを読み取れるようにいろんな媒体(Web、新聞、雑誌など)へ展開し市場開拓をすることも可能になりました。また、ビジネスのクローズ情報をWechatのグループ内で共有することでビジネス活用するような人も増えました。

 

ちょうどバージョン3.5がリリースされた後に、Wechatのユーザーは1億に達しました。 

Wechat モーメンツ期(4.0)

バージョン4.0で「モーメンツ」を追加しました。モーメンツはLINEやフェイスブックでいうタイムラインのことで、これまでWechatはただのリアルタイム通信ツールでしたが、モーメンツができたとこで、ひとつのチャットツールの中でコミュニティまで作ったのは、ユーザーに新しい楽しみを与えることになりました。

 

モーメンツを作ることでWechatの友人関係がより流動的になったことは間違いでしょう。すでに1億人のユーザーをもっているアプリで、前述の機能によって緩い繋がりある友人が増えたのがこの時期に、モーメンツは必要に応じて作られた機能です。

 

たとえば長年連絡しなかった小学校の同級生、または前にどこかの会場で知り合った人など、友達登録したとはいえ、それ以来チャットする機会がなく、徐々に相手が誰なのかわからなくなってしまうということもあります。緩く繋がった友達が増えたことで、相手のことをはっきりと覚えていないということも発生することになりました。

 

そのような問題を解決することになったのが、モーメンツの出現です。モーメンツがあれば、毎日そこで発信した内容は、友達なら皆見られます(今は見れない仕様にもできます)。たとえその人と共通の話題があまりなくても、せめて「いいね」で自身の存在をアピールしたり、まだ注目しているよと知らせることもできます。そうすれば、仮に何か用事があり、久しぶりに連絡する必要があった時でも、気軽に連絡することができるでしょう。

 

モーメンツによって、人と人との繋がりを深くさせ、共通の話題ができることから、自然と信頼もし合えるようになりました。もともとネットという希薄な人間関係を、より密度の高い関係にしたのがモーメントです。モーメンツができたことで、私たちが新しい友達の最新情報をタイムリーに知ることができ、共通の話題を見つけられます。直接チャットすると相手にも迷惑かもと感じてしまうかもしれませんが、モーメンツへの投稿はそのわずらわしさがありません。

 

Facebookやツイッターが規制されている中国ではそれに代わるSNSがありますが、中でもWechatがSNS領域を担う割合は大きく、ユーザーからの信頼度も高いWechatはこの時期にWechatがSNSの最重要ツールだと示しました。

これだけユーザー数が多く満足度も高いアプリに育ったので、今後同業他社が類似サービスを出てきても揺るがない程の力をこの時期には既に手に入れていたといっても良いでしょう。

 

Wechat 公式アカウント期(4.0)

バージョン4.0の時期に新しいサービスとして登場したのが公式アカウントです。公式アカウントの登場により、企業がアカウントを取得して直接ユーザーと繋がるという動きが顕著になりました。

 

公式アカウントは現在、サービスアカウント、購読アカウント、企業アカウントと準備されており、サービスアカウントでは月4本、購読アカウントは毎日情報発信ができるようになっています。

 

マーケティングを行う際に公式アカウントの理解は必須と言えますし、アカウント内に会社案内やEC機能も入れることができるので、販売したい商品がある企業や、直接顧客からの反応を聞くことができる公式アカウントは企業にとって重要なポジションとなりました。

 

Wechat 商業化期 (5.0)

バージョン5.0ではゲーム、決済、スタンプショップをリリースしました。2013年の初め、テンセント社の新年会で、総裁の劉熾平氏は全社員に「2013年はウィーチャットの商業化元年となろう」と宣言しました。そして2013年の1年でWechatペイ、ゲーム、スタンプショップを続けてリリースし、この三つをもってWechatの商業化を展開したのです。

 

ゲームはテンセントの売上の中でも大きな割合をしめる重要なサービスで、その長所を活かして、Wechatのユーザー数、高いアクティブ度を合わせて、テンセント社でしかできない強みとなって展開しています。

 

スタンプはQQの時代からずっと中国ネットユーザーに愛されてきましたが、テンセントにもたらす利益はあまり多くありませんでした。しかしWechatと同業となる日本のLINEがスタンプのサービスで大きな成功を手にしました。それでWechatもLINEと同じ戦略を懸命に試みたのですが、国民性の問題か、結果は芳しくありませんでした。

 

やはり中国ではその当時スタンプは「無料で利用出来るもの。」という概念が固まっており、Wechatの展開としても無料スタンプへと戦略転換をせざるをえなかったのです。

 

Wechat 電子決済期(5.0)

そしてこの時期の電子決済もWechatが成功する重要なポイントになっています。電子決済機能はアリババの展開するアリペイと2強の争いとなり、中国内で熾烈なシェア争いが繰り広げられましたが、結論としては2016年にテンセントの決済事業は黒字化となり、今では一般の人はアリペイとWechatペイ両方所有し、買い物時にはほぼ電子決済を利用しているという状況に落ち着いています。 

 

Wechatでの電子決済は買い物だけでなく、Wechatの友人同士てお金をやり取りするのにとても優れています。チャットの中で簡単に送金出来るようになったので、遠方に住んでいる人へのお年玉や、お礼金なども気軽にやり取りすることが可能となりました。

お年玉機能という不特定多数に抽選形式でお金を送ることもできるようになり、企業の商品PRや、友人間でのお祝いなどに電子マネーが使われるようになりました。

 

Wechat ミニプログラム期(6.0)

上記のようにWechatは頻繁にアップグレードを行い、その都度新しい機能を搭載していますが、サービス発売当初から計画していたものではなく、需要に応じて後から補充したものがほとんどといえるでしょう。

 

そして2017年に新しく登場したのが「ミニプログラム」です。ミニプログラムは、アプリをダウンロードする必要がなく、スマホ内で開いてみたり、遊んだりすることのできるアプリです。現在中国人のスマホには多くのアプリがダウンロードされ、ユーザーも増え続けるアプリにうんざりしている人も多いので、ミニプログラムを展開するとアプリよりも簡単に利用してくれるという特長があります。

 

まとめ

新しい機能が繰り出される過程で、Wechatがもっとも成功したところは、その全体のインターフェイス、機能構造がほとんど変わっていなかった点にあると思います。これはWechatが機能を増やそうとする時、搭載後の互換性を十分に考慮し、あくまで一番必要となる部分の機能のみを作り、ただ闇雲になんでもやろうとしなかったおかげです。

 

チャットアプリから始まったWechatですが、現在では生活に欠かすことのできない必須アプリとなっており、友人間はもちろん、ビジネスでも積極的に使われています。

 

Wechat成長過程で、同業者(はたまたは非同業者)を多く参照にしてきましたが、最終的にはWechatは独自の開発を行い、その結果今では国内外の多くの企業がWechatのサービスを参考にしたようなサービスを展開しています。

 

Wechatが成功した必然と偶然については別記事でまとめたいと思います。

 

いかがでしたか?今回は中国の について説明しました。

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