上海と言えば、高層ビルが立ち並ぶ巨大都市のイメージが強いですが、歴史感あふれるスポットもたくさんあります。近年では上海の伝統的な居住形式である弄堂(ロンタン)が大きな注目を集めており、弄堂を散策する観光客が年々増えています。
今回は、上海独自の建造物である弄堂について、皆さんに紹介したいと思います。
北京胡同(フートン)と上海弄堂の違い
上海弄堂は、北京胡同(フートン)とよく比較されます。どちらも古い町並みを意味しますが、この二つのにはどんな違いがあるのでしょうか?
「胡同」は、中国の首都である北京市の旧城内を中心に点在する細い路地、横丁のことです。そのほとんどは、元、明、清、の時代につくられました。胡同には伝統的家屋建築である四合院が多く見られます。 古くからの北京の街並みを今に伝える胡同は、近年観光スポットとして国内外の観光客から人気を集めています。多くの北京っ子がここで生活を送り、歴史や文化を紡いできました。胡同は、北京市の今と昔を繋ぐ道なのです。
「弄堂」は、上海市と江蘇省、浙江省を結ぶ長江デルタ特有の居住形式で、 「石庫門」に代表される2階建て、3階建てのメゾネット形式の住宅が路地に並んだものです。1850 年頃からイギリス、フランス租界内の中国人向けに、「里弄住宅」という集合住宅が建設され、それが急速に増えていきました。それが弄堂の前身となります。「弄堂」は上海の歴史・文化を代表する建築物であり、オールドシャンハイの物語を今の人に伝えています。
おすすめの上海弄堂10選
①新華別荘(新华别墅)
異国情緒漂う新華路は別名「外国弄堂」と称されています。上海随一の別荘エリアである新華路には、新華路211弄と新華路329弄に、二つの弄堂があります。
新華路には、ハンガリーの高名な建築士がデザインした、それぞれに違った雰囲気を醸し出す弄堂が10件以上あります。新華路は繁華街の近くに位置していますが、この弄堂に入ると、都会の喧騒を離れた静寂の世界に身を置くことができます。
住所:上海市長寧区新華路211弄
②淮海坊
淮海中路927弄にある淮海坊は1924年に教会普愛堂により建てられた住宅群で、旧名を「霞飛坊」と言います。
他の細長い弄堂と違い、淮海坊は整然としています。199件の同じ規格に統一された3階建ての住宅が、整然と並んでいるのです。赤レンガと煙突も、淮海坊の特徴です。
住所:上海市淮海中路927弄
③歩高里
歩高里は1930年に建設された、上海独特の西洋と東洋をミックスさせた居住建築です。赤レンガの外壁に囲まれた木造レンガ建築で、陝西南路と建国西路の入り口には、それぞれ中国式の牌楼が建っています。石の門には、中国語とフランス語の名前が書かれています。上海にありながら、フランスっぽさも漂い、まるでどこかのヨーロッパの町に迷い込んだような気になります。
住所:上海市陜西南路287弄
④リトル・ウィーン
北外灘の「提籃橋」駅の近くには、別名「リトル・ウィーン」と呼ばれるエキゾチックなエリアが存在します。この場所にはかつて、上海きってのユダヤ人街がありました。現在ここには「上海ユダヤ難民記念館」が建設されています。中に入るとガイドの解説もあり、上海市とユダヤ人との交流の歴史を知ることができます。記念館のすぐそばには、ヨーロッパ風の建築物が軒を並べる舟山路はが走り、戦前のユダヤ人街にタイムスリップしたような感覚に襲われます。
住所:上海市虹口区長陽路62号
⑤田子坊
黄浦区泰康路210弄に位置する田子坊は、若者の人気を集めているスポットです。上海市の伝統的な街並みが残っていて、迷路のような入り込んだ路地に沢山のショップやお土産屋、カフェやバーが並びます。他の店では売っていない、オリジナルのお土産を購入したい方は是非一度立ち寄ってみてください。多くの若手クリエイターやアーティストがここに集まり、芸術的な雰囲気が味わえます。食べ歩きをしながら、レトロとオシャレの両方を楽しめる商店街として、インスタ映えは抜群です。
住所:上海市泰康路190弄2号
⑥愚園路749弄
上海で最もミステリーな弄堂と言えば、やはり愚園路749弄で間違いありません。実はここには、かつて多くの有名人が住んでいました。スパイで知られる汪精衛と段祺瑞の旧居もここにあります。愚園路749弄は「主弄堂—側弄堂—小側弄堂—秘密通路—主弄堂」という一風変わった内部構造をしており、別名スパイ迷路とも呼ばれています。
住所:上海市愚園路
⑦隆昌公寓
隆昌路362号は「隆昌公寓」とも呼ばれます。旧ローマ風の雰囲気が漂う、コロッセオのような建物です。かつて香港にあった九龍城砦を彷彿とさせます。この建物は、1920年代にイギリス人によって建てられたそうです。チャウ・シンチーの映画「カンフーハッスル」のロケ地に似ていることで、人気を集めています。
住所:上海市楊浦区隆昌路362号
⑧静安別荘(静安别墅)
上海市の中央部にある静安別荘は、上海市最大の新式里弄住宅群です。南京西路と威海路がショッピングストリート、他のエリアが住宅街となります。現在も3000人以上の住民が住んでいます。張愛玲の小説に描かれたお店は、この里弄にあります。また、アン・リー監督の映画「ラスト、コーション」のロケ地の一つにもなっています。近くにある梅龍鎮などのショッピングモールとは異なり、赤レンガで造られた静安別荘は落ち着いた雰囲気と独特の歴史感を感じることができます。
住所:上海市南京西路1025弄1-198号
⑨嘉善坊
陕西南路にある「嘉善老市」は元々古い工場でしたが、その後改装され、アパート、カフェ、レストランなどが集まるエリアに生まれ変わりました。2010年のオープン以降、その個性的なお店のラインナップやのんびりとした独特の空気から、ひそかに人気を集めているスポットです。嘉善老市は南フランスをイメージして作られました。オシャレなお店が多く、国際色豊かなでユニークなお店ばかりなので、足を運ぶたびに新しい発見がある場所です。
住所:上海市盧湾区陕西南路550弄25号
⑩張園
南京西路に「上海第一名園」と呼ばれる有名な張園があります。張園という名は、この庭園を買い取った商人の名前から取られたそうです。孫文、霍元甲などの有名人も、長い歴史の持つ張園 とゆかりのある人物です。孫文はかつて、ここで演説を行なったことがあります。張園は石庫門住宅の代表格であり、中洋折衷のモダンな建築が特徴です。
住所:上海市威海路590弄
まとめ
上海おすすめの弄堂10選、如何でしたでしょうか。
弄堂を散策すれば、巨大都市・上海の別の一面を垣間見ることができます。激動の歴史を歩んだ上海市の歴史に思いを馳せるのも、よいかも知れません。
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