LuckinCoffeeが中国でスタバに勝てる理由

イマチュウメディア

最近北京や上海を中心とした都市部を中心にコーヒー戦争とも呼べる熾烈な競争が繰り広げられているのをご存知ですか?

今日はその主役であるLuckinCoffeeについて説明します。

中国を取り巻く状況は去年と今年では様変わりしており、その変化の速さも中国っぽいなぁと感じています。

スターバックスの中国での成長鈍化が顕著に

中国のコーヒー市場のドンであり、世界のコーヒー業界のトップを独走するスターバックスですが、ここ中国では今年に入って苦戦を強いられているようです。

スターバックス中国の2018年1月~3月の来客数が前年比で‐3%となりました。

これは中国にスターバックスが進出して20年になりますが初めてのことで、業界的にもかなり衝撃だったようです。

今、中国のコーヒー業界で勢力を急拡大しているのがLuckinCoffeeです。

世界展開をしていないので中国以外の人にはなじみがない人も多いと思いますが、中国都市部の会社員を中心に熱狂的なファンを多数獲得しています。

ニューリテールに詳しい知人の話では

既に都市部ではスターバックスの売上の20%程度がLuckinCoffeeによって奪われている。

というほどとにかくその勢いはすさまじいです。

ではLuckinCoffeeがどのようにして王者スターバックスに戦いを挑み、シェアを奪っていっているのでしょうか?

以下実際に上海でLuckinCoffeeを愛用し、そのサービスについて分析した結果、以下の点がポイントになっていると思います。

徹底したニューリテール戦略

LuckinCoffeeは2017年10月に1店舗目が開業した新しいコーヒーチェン店です。

コーヒー市場への参入するにあたり、その戦略を業界最強のスターバックスと大きく変えることで新しい価値を創造することができました。

スターバックスの戦略が「サードプレイス」という

会社、家以外の第三の場所を提供する

というコンセプトで、落ち着いてコーヒーが飲める、また立地はその地域で一番良い場所である。という戦略で広く支持されたのですが、LuckinCoffeeの店舗にはスターバックスのようなくつろげるような空間が準備されていません。

LuckinCoffeeの店舗の大部分はコーヒーを作るキッチンスペースが占めています。中には完全に出前、持ち帰りのみの店舗もあり、椅子があったとしても簡易的なものばかりで、スターバックスのようにソファなどはありません。

LuckinCoffeeはスターバックスのように店内飲食を基本としておらず、コーヒーを持ち帰ってオフィスで飲んだり、出前による配達サービスをメインに考えているようです。

客はアプリで注文をし、自分で取りに行ってもいいですし、出前(35元以上無料)を頼むと18分以内に届けてくれるので気軽に頼むことができます。

実際にLuckinCoffeeの売上の半分以上を出前が占めており、店には出前の配送員がずらっと並んでいる様子が見られます。

スターバックスよりも格段お値打ちなLuckinCoffee

価格面でもLuckinCoffeeはスターバックスよりもかなりお値打ちです。

例えばラテであればスターバックスは31元ですが、LuckinCoffeeは24元です。

更にLuckinCoffeeはキャンペーンを多数展開しており、ちょっと前までは1杯頼むと2杯目が無料というキャンペーンだったり、今なら2杯頼むと1杯無料であったり、5杯頼むと5杯無料というものを展開していますので感覚的にはスターバックスの半額かそれ以下と感じています。

他の商品もすべてスターバックスよりも10~30%安い基本設定になっていました。

中国のスタートアップで多くの企業が踏襲しているような、最初の拡大期に大規模はキャンペーンやクーポンをバラまいて一気に周知をするという手法をLuckinCoffeeもとっているようです。

ただそのバラマキ方や広告の打ち方は実に考えられていると感じることが多く、SNSを主とした広告展開をとっています。

SNSで友達を紹介したらコーヒー券がもらえたりとWechatでの交流を促進するようなやり方が多く、自然と皆でシェアしたくなるようなものが多いです。

味も満足度が高いLuckinCoffee

スターバックスのコーヒーは店内のコーヒーミルで粉砕してドリップする工程を店内で行っており、いつも店内にはコーヒーのいい香りがあふれています。一方LuckinCoffeeも製造工程は基本的にスターバックスと同じようです。

また使用しているコーヒー豆は三井物産であったり、生乳メーカーや有名コーヒーメーカーブランドと提携していたりと、コーヒーの品質を確保できる仕組みができているようです。

厳選のコーヒー豆を使用しているので、スターバックスと比べてコーヒーの味が劣っていると感じたことはありませんし、中国人の同僚もLuckinCoffeeの方が好きという人が多かったです。

スターバックスよりも圧倒的にアプリが使いやすい

LuckinCoffeeは基本アプリで注文する(店にメニュー出してない)のですが、その専用アプリのUI/UXが素晴らしいです。

買い物をする機能はもちろん、友達に送るボタンや、近くの店舗を自動で探したり、SNSでシェアしやすいような誘導の仕掛けが多数されています。

スターバックスにもアプリがあり、同じようなことはできるのですが、スターバックスのアプリだと先に料金をチャージをして、その中から支払うということが必要なので利用者にとって若干負担が大きく感じます。

一度LuckinCoffeeのアプリを使うとスターバックスのアプリの操作性の悪さや、サービスへの不満が目立つようになるのも事実でしょう。

実際に毎週のアプリダウンロードランキングでもLuckinCoffeeのアプリは必ず10位以内に入っていますが、スターバックスが入っているのを見たことはないです。

注文をした後で、店舗についている定点カメラに移っているライブ動画をアプリで見ることができるのは驚きでした。

有力な投資会社がLuckinCoffeeの店舗拡大を支えている

約1年間という短期間に急速に拡大してきた理由に投資企業の支援があるようです。

複数回の投資ラウンドを経て、2018年7月には2億ドル以上のファンドを完了しています。

現在の企業価値は10億ドルを超えており、店舗数は現在700店舗ほどですが、今後半年以内に2000店舗を目指しているという話もあるほど、とにかくその勢いは規格外です。

 

中国人のコーヒー市場はまだまだ発展途上

中国のコーヒー市場はまだまだ伸びると思います。私自身中国へ初めてきた15年前にコーヒーというとインスタントコーヒーに大量の砂糖を入れたもので、風味も感じられないようなものばかりでした。

今でこそコーヒーを飲む人は増えている印象ですが、都市部の人でも平均年間20杯程度の利用率のようです。日本は年間200杯以上といわれているのでその差を見ても、中国ではまだまだコーヒーを飲む人が増えると思います。

以前はファッションとしてスターバックスでコーヒーを飲むのがかっこいいという人も多かったように思いますが、今は本当のコーヒー好きが毎日飲むようなスタイルに変わってきているように感じます。そんな時に低価格で、オフィスまで持ってきてくれてSNSでもよくみるLuckinCoffeeが消費者に受け入れられるのは当然かなと思いました。

LuckinCoffeeまとめ

LuckinCoffeeがニューリテール戦略でオンラインとオフラインを繋ぐ仕組みをしっかりつくっていることが何よりもここまで急成長を遂げている要因だと感じました。

オンラインを主戦場にもってきたLuckinCoffeeが現在の中国人に受け入れられ、快適な場を作るコンセプトを掲げているスターバックスが停滞気味な理由は中国の小売の未来を示唆する気がします。

今後LuckinCoffeeがどのように展開していき、スターバックスがどんな形で応戦するのか(すでにアリババと提携して出前は開始しています)とても興味深いです。

 

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