中国で一条と二更といえば、動画コンテンツの2大コンテンツメディアとして多くの人に認知されています。
2社とも動画コンテンツをメインに微信などのSNSで拡散しやすいような作品が多いのが特徴ですが、今回はこの2社について、どのような違いがあるのか詳細分析をしてみました。
※一条については先日弊社記事で解説していますので参照ください
中国の動画コンテンツを理解するにはこの2社は外せないと思います。
一条 二更それぞれの歴史
一条と二更が似ていると主張する人がいますが、実は動画の内容から、動画作り方、ターゲット、ビジネスモデル等には違いがあります。
まず「一条」と「 二更」のそれぞれの発展歴史から見てみましょう。
「一条」
●2014年2月、『外灘画報』の元編集長である徐沪生氏が離職し、創業した。
● 2014 年 9 月 、一条のWechat公式アカウントを開設、オリジナル動画を毎日発信。
● 2014年9 月 、開設してから僅か15日で一条Wechat公式アカウントのフォロワーが100万人に達した。
● 2014 年 11 月、数百万ドルのシリーズAラウンド投資を受ける。
● 2015 年 12 月 、独立した美食チャンネル「美食台」を発足。
● 2016 年 5 月、一条がECストア開設。2ヶ月で、数十万のユーザーから受注。
● 2016 年 7 月、シリーズB+ラウンド投資を受ける。
● 2016 年 8 月、中産階級ライフスタイルを提案するECプラットフォームとして「一条」 APPを正式運営。
● 2018年9月、上海に実店舗を3店舗同時オープン。
「二更」
● 二更の前身は伝統的なメディア会社であり、主な業務内容はテレビ番組・CMの企画・制作など。
● 2014 年 11 月、二更のWechat公式アカウントを開設、オリジナル動画を毎晩発信。
● 2015 年 4 月、「杭州二更网络科技有限公司」成立。
● 2015 年 5 月、メディア「深夜食堂」(のち「二更食堂」に改名した)と合併。
● 2015 年 8 月、「二更」はコンテンツ創業チームからコンテンツ生産プラットフォームへ方向転換。
● 2016 年 3 月 18 日、5000万元超えのシリーズAラウンド投資を受ける。
● 2016年、「二更」は20個の中国都市拠点を開拓、更に「更日本」と「更北美」の二つのグローバル拠点を開拓。
● 2017 年 1 月に1.5憶元のシリーズBラウンド投資、2017年7月に1憶元のシリーズB+ラウンド投資、2018年4月に1.2憶元のシリーズB3ラウンド投資を受ける。
一条 二更動画の作り方にも違いが
一条の創立者である徐沪生氏は元々人物インタビューで有名な上海のビジュアル誌『外灘画報』の元編集長であり、一条もまさにビジュアル誌の雰囲気をそのまま動画メディアにしたような世界観を持っています。
ゆったりした独自のリズムと映画的な撮影表現が一条動画の大きな特徴です。動画のクオリティに徹底してこだわり、小さい道具まで丁寧に伝えるので、作り上げた動画の美しさに魅了されます。
二更の動画撮影については、映画的より日常生活にあふれる心地よい空気感がより感じられます。細かな部分というより、全体的な空気感に力を入れているように感じます。
また動画の種類によって撮影手法を変わたりと見せ方の多様性に富んでいるのも特徴です。
一条 二更 が狙っているターゲットは違う
アートや伝統工芸、人物取材といったテーマを中心に扱う「一条」のターゲットは中国で「中産階級」と呼ばれる人々です。経済発展の流れに乗り、裕福になった彼らの消費は、安価で無個性な従来の商品からより個性的で高品質なものへと変わっていっています。
そして、都市部の中間階級の人々の多くは伝統や文化に対する関心を高く持っています。このような「中産階級」が一条を支えている購買層となります。
相対的に言うと、人物取材、教育、文化、公益等幅広いテーマを扱う「二更」動画のターゲットは都市で暮らして、高品質の生活を追及し、一定の消費能力を持つ若者です。更に、男性より女性からの支持が多いのも特徴的です。
一条 二更 のビジネスモデル
「一条」の躍進を支えるのがハイクオリティな動画を軸とした広告＋ECのビジネスモデルです。
「一条」の広告には写真を軸にした記事広告と映像広告があり、特に映像広告の広告代は基本的に高額な広告費がつきます。
その背景には、「一条」のブランド力が高く、支持層への拡散力が強いことに加え、「一条」らしさをしっかり活かした動画のレベルにあります。
すでに多くのユーザーと動画視聴実績に基づいた人気のある一条は、ECプラットフォームと実店舗の展開が「一条」将来展開となります。
独自性にこだわり、デザイン性のある且つ高品質な日常品しか販売していないので、高品質の動画に加え、「一条」らしさをアピールすることができます。
現在は自社ブランド商品は取り扱っておらず、厳選したブランドのセレクトショップとなっています。
「二更」は元々動画制作と営業力の強みを生かし、動画コンテンツプラットフォームの道を開拓してきました。
広告＋オリジナルコンテンツの企画・制作・配信サービスは「二更」のビジネスモデルです。 オンライン・オフライン様々な手法と多様な提携チャンネル・プラットフォームにより高いコストパフォーマンスは二更の特徴となります。
豊富な提携チャンネルを利用することで、より多面的な層へPRができる他、広告効果の最大化を実現することができます。
We Chat公式アカウントでのメイン配信、微博、TENCENT動画、优酷、土豆、今日头条、美拍などのサブ配信と合わせることで、閲覧者へのアピール力は絶大なものがあります。
まとめ
いかがでしたか？今回は中国の動画コンテンツ一条と二更について違いを分析しました。
中国動画制作・配信業界に最も影響力を持つこの2社への理解を深めることで中国の動画コンテンツの可能性を理解することができるでしょう。
今後も定期的に一条と二更の動向を分析していきたいと思います。
コメント