中国シェアタクシー三国志 激化する市場の最新動向

中国トレンド

今日は先日Mobikeを3600億円で買収したニュースが飛び込んできた美団のタクシー業界参入の概要とその可能性についてをどこよりも詳しくまとめています。

美団のMobike買収のニュース

今年はDIDI×美団×高徳という競争激化が必至の中国のシェアタクシー市場から目が離せません。

この記事を読めば現在中国で繰り広げられているシェアタクシー業界の現状が理解できるはずです。

美団がシェアタクシー業界参入

美団は中国で2010年に誕生した企業で、団体購買割引サービスを中国全土に広めた企業です。

その後は出前サービスでシェアを大きく伸ばし、現在は出前サービスでは中国1位のシェアを誇っています。現在は出前、飲食店、娯楽施設、等の生活情報の包括的プラットフォームとして人気を博しています。

そんな美団が今回新たに市場獲得を狙っているのが、シェアタクシー業界です。中国のシェアタクシー業界は主にDIDIの一強独占状態が続いていました。

そんなシェアタクシー業界へ挑戦する美団に勝ち目はあるのでしょうか?

美団のタクシー運転手によると

上海で美団でタクシー運転手をしている人によると、3月21日に上海で美団の申請が始まり、既に多くのDIDI運転手が美団へ乗り換えているとのことでした。乗り換えるといっても会社へ所属しているわけではないので、使うアプリを変えるだけなのでそのあたりはすごく楽のようです。

当然美団の運転手になると、DIDIのアプリは使えなくなりますが、美団のシェアタクシーが始まってからは、毎日平均20~30の状況があり、まだ参加運転手が少ないからか、DIDI時代よりも顧客獲得がしやすいとのことでした。

ちなみに上海でシェアタクシーの運転手になろうとした場合、2017年6月からシェアタクシーの運転手と車のナンバーについて規制が入っていますので、上海では、上海戸籍、上海ナンバーの車しか営業ができなくなっています。

美団タクシー利用の優遇サービスが凄い

美団が後発としてシェアタクシー市場へ参入するにあたり、運転手に対して大規模な優遇サービスを打ち出しています。

一例として、

1日最低保障金 600元

1日10時間の稼働、10回以上の乗客利用を満たした場合、600元の最低保障が得られ、600元に満たない場合は補助金が出ます。

1日600元の売上を超えたらボーナス200元

1日の売上が600元を超えた場合は、その都度200元のボーナスがあります。

3ヵ月以内手数料0

DIDIであれば料金の20%が手数料としてDIDIへ支払われますが、美団は3ヵ月以内限定ですが、手数料0となっています。その後は8%の手数料となるらしいですが、それでもDIDIの手数料が20%~と比べると十分安いので、運転手にとっては魅力的でしょう。

※上海の手数料0キャンペーンは2万人限定で、既に応募者が2万人に達しているようです。

 

現時点で運転手の立場で比較すると、新規ユーザー獲得のために優遇サービスを実施している美団タクシーは、待遇も良く、顧客も獲得しやすいのでDIDIよりも人気が高まっているようです。

しかし、4月5日美団に対して上海交通局からボーナス金の抑制指示が通知されましたので、今後はある程度抑制されることも予想されます。

 

美団のシェアタクシー市場での可能性

美団が中国のシェアタクシー業界でシェアを獲得することができるのでしょうか?

その可能性は多いにあると思います。

それは、中国のシェアタクシー業界自体にまだまだ発展の空間が残されているからです。シェアタクシーの利用は日本と比べると圧倒的に多く、運転手も多いので使い勝手も圧倒的に中国の方が良いですが、タクシー業界全体で見ると、シェアタクシーの割合はまだまだ伸びる余地があります。

 

美団参入前はDIDI(滴滴)一強が続いた中国のシェアタクシー

現在中国のシェアタクシーはUBERを買収したDIDIが一強となっていましたが、ここ数カ月で大手2社(美団、高徳)も相次いで参入表明をしました。

3月21日に美団のシェアタクシーが上海でサービスを開始して数日で、1日あたり30万件の受注が行われているということで、短期間で多くの運転手が美団へ流れていると予想されます。

既に上海の運転手向け特別キャンペーンの2万人の募集枠は既にいっぱいとなっているようです。

DIDIへの不満

今回美団がシェアタクシー業界に参入するにあたって、DIDIへの顧客からのクレーム増加なども要因としてありそうです。

DIDIへの顧客の不満はどういったものがあるかというと、その多くはサービスの低下です。個人的な感想ですが、DIDIが中国で普及し始めた当初、旧来のタクシーと比べて運転手の態度やサービスが良かったことにすごく驚きました。

DIDIは乗客が運転手の評判を星の数で評価ができ、コメントも書くことができるので、評判の良し悪しが顧客獲得の重要なポイントとなるからです。また、DIDIのカスタマーサービスも対応が良く、問題ある運転手への処置や、顧客へのフォローは今までの中国で生活していた時に感じられないような素晴らしいものでした。

それまでは、道をごまかして料金を稼ぐ、粗い運転をする、車内でタバコを吸うなど、利用していても不満が多かったですが、DIDI登場で様変わりする中国の変化の速さに感動した覚えがあります。

そのDIDIも最近はサービスの低下が指摘されており、市場競争が生まれない環境でのサービス向上の意識は芽生えにくいようです。

また、一強独占の弊害はタクシー運転手にも至っており、運転手の負担となる手数料が増えたりしていたようです。

シェアタクシーAPPに対する依存度は低い

シェアタクシー市場において、顧客もタクシー運転手もAPPに対して特別思い入れは少ないことが多いです。実際に美団の運転手となるのはDIDIを利用していた運転手である場合が多く、そのサービス内容に差は生まれにくいです。

従って美団が後発として参入したとしても、そのサービスや価格に優位性があれば、顧客に受け入れられる可能性は高く、十分市場獲得は可能と思われます。

現在利用者に対して美団が行っているキャンペーンは、

3回分の14元割引券です。

利用料金が14元以下であれば無料となりますし、家族などでAPPを入れると、3回の割引×人数分となり、お得感も大きいです。

美団とDIDIの企業比較

※出典:第一財経

美団とDIDIの企業競争力を比較したところ、美団の顧客は6億人(出前サービス含む)で、出前サービスでは中国市場の60%を獲得しています。一方DIDIは4.5億人ですが、シェアタクシー業界では市場90%以上を獲得している圧倒的強みがあります。

 

美団2017年の売上は3600億元で、そのうち出前サービスは1710億元です。DIDIはシェアタクシーのみの売上で2017年1600億元の売上があります。

※出典:第一財経

1日のアクティブユーザー数でみると、美団とDIDIはかなり接戦という状況です。2017年8月のデータを見ると、美団が1日1575万人に対して、DIDは1394万人と美団が若干上回っています。しかし、クリック数でみると、DIDIが美団の2倍近く多い数字となっています。これはDIDIがシェアタクシーのみのAPPなのに対して、美団は食事、遊び、出前等生活に必要な情報プラットフォームとなっているからです。

2017年中国ユニコーン企業報告書によると、DIDIの時価総額は500億ドルで2位美団は300億ドルで5位となっています。

中国シェアタクシー業界の今後

また美団がシェアタクシー参入を表明した後の3月末にアリババグループの地図アプリサービス企業である高徳もシェアタクシー業界への参入を発表しました。

今後シェアタクシー業界はDIDI、美団、高徳のシェア争いが熾烈を極めることになるでしょう。

今後美団が中国のシェアタクシー市場で20%程度のシェアを獲得することができれば、企業の時価総額も100億ドル程度上昇するので、DIDIと比べて競争力が強くなるでしょう。

また、シェアサイクルのMobikeを買収したことで、シェアタクシーとシェアサイクルの両方が使えるという利便性も向上し、利用者に対して、より強い訴求力を獲得できます。

競争が激化する中で、消費者にとってはサービスの選択権が生まれ、より快適なサービスや値下げ、画期的なイノベーションが生まれることが期待されます。

 

いかがでしたか?今回は中国のシェアタクシー業界の最新動向について説明しました。

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